ガムは大地と踊る/
木屋 亞万
ガムを噛むと
口が広くなる
舌に野原が広がり
歯がぶつかり合う森
呼吸が定期的に吹き荒び
茎は湿っている
血の気が引いたように
青く暗く奥へと続く
洞窟の入り口で
茎は湿っている
口笛が夜を呼び
埋められた白い石から
ギターが鳴る
ガムは口の中で踊る
しなやかに体を
姿かたちを変えていく
持ち前の色を失い
肌の弾力が衰えた時に
銀に光る安っぽい紙に
全身を包まれ消えてゆく
草原には静かな風
ほのかなミントと
骨を打つピアノの音色
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