夢の終わりから、ずっと/小川 葉
 
夢の終わりから、ずっと
人は生きてるのかもしれなかった

最後に夢を見たのは
母さんのおなかの中で
とつぜん目を覚ましてから
人は生きてるのかもしれなかった

夢の終わりから、ずっと
何ひとつはじまりも終わりもしない
ほんとうはまだ
母さんのおなかの中で
夢を見続けているのかもしれなかった

冬の終わりから、ずっと
春は訪れていたのかもしれなかった
人はいつか夢を見ることを忘れ
夢が人を見ていることに
気づかないふりをしながら
生きているのかもしれなかった
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