ランプとジャンクション/雨を乞う
 
 真っ黒な世界がもうすぐ終わるとか考えていた数年前の祈る手の影、新しい洗脳、未来のシンパシー、軽い衝動で。風の強い国で君を見失い、あれだこれだと結論ばかりで手を汚さずに土を掘るやり方で満足していた。僕らの血と肉が逖い影に酔う、踏み込む度に僕は生かされる、些細な答えがどこかへと直結する。高い位置で宙を睨む横顔を追いかけ、ケモノやモノノケの類の声をあげた僕は悲しくなる、もうすぐ。

 夢の中で見た昇っていく音符の青い岸辺にはやさしい雨が降るだけで、目覚めろと呼んだ歌を聞きたくなかった。くすね盗ったのは君の大切な最初で最後だ、奪う事にも慣れたのに奪われるのには不器用で、ついた嘘を隠すために掻き分けた
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