夜の海/
亜樹
橋の下に
鯨がいる。
ぬっめりとした皮膚が
ゆっくりと波うった。
大きな鯨は
泳いでいる。
きらきらと
目がひかる。
いくつもあるそれは
同じ方に
向かって流れた。
ああそうか
おまえはあすこに
ゆきたいのか
海の端には
月がかかっている。
その光に向かって
ゆっくりと
波が進む。
今日はひどく
さみしい夜だ。
吹く風は冷たく
橋の下にいた鯨は
いつの間にやら
沈んでいた。
戻る
編
削
Point
(3)