海辺の街/ロリータ℃。
 




生まれた街を歩いてみた
潮風が私の髪をなびかせた
腰の曲がったおばあちゃんが
歩道を歩く



わたしはきらめく海の反射に見とれながら
その美しい波の冷たさを知っていたよ



あの日母と歩き集めた
貝殻がたくさんたくさんさらわれて
白い泡と一緒に見えなくなってしまう
海の底にはきっとあるのに



わたしの扱う言葉のように
見えていたのに見失う
けれどそれで良いのかもしれない



隣に佇む男にむかって
ほんの少し笑ってみせた
差しのべられた冷たい手をとり
埋もれる無数の貝殻をわたしは忘れて
食事に向かう




戻る   Point(2)