海辺の街/ロリータ℃。
生まれた街を歩いてみた
潮風が私の髪をなびかせた
腰の曲がったおばあちゃんが
歩道を歩く
わたしはきらめく海の反射に見とれながら
その美しい波の冷たさを知っていたよ
あの日母と歩き集めた
貝殻がたくさんたくさんさらわれて
白い泡と一緒に見えなくなってしまう
海の底にはきっとあるのに
わたしの扱う言葉のように
見えていたのに見失う
けれどそれで良いのかもしれない
隣に佇む男にむかって
ほんの少し笑ってみせた
差しのべられた冷たい手をとり
埋もれる無数の貝殻をわたしは忘れて
食事に向かう
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