「 左手と、切り分けられた三十一文字の指と文体遊戯。 」/PULL.
親指はせわしなげに空白の悲鳴を打つので切りました「 」。
夕べ海で、忘れた指を見つけました。指は
貝になり、海の音を打ち続けていました。わ
たしはそれを切り分けて、貝殻を、なくした
耳にあてました。海の音は、もう、どこにも
聴こえませんでした。
誰も刺さない「人差し指」切ってあなたのこころに刺してあげる。
ながい時のあいだ、ひとに触れたことがな
い。わたしの指はさみしがりやで、ひと恋し
くなるとひと知れず伸びて、あらぬ次元の彼
方まで、ひとを求め旅に出る。指は知らない。
ひとはいない。もうひとは、どこに
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