寂しい会話(実話)/よしおかさくら
総武線に乗る
今日もはっきりと黄色いが
乗ってしまえばわからない
終電の一本前
日本シリーズの直前とくれば
立っているひともいない、
空いている席もない、
という絶妙な乗車率だ
そんなわけで
私の両隣では携帯電話に因る、
((ヘンに噛み合った会話))
が成立してしまう
向かって右にピンクのブランドずくめで髪が金茶色の女性
向かって左に紺色スーツで黒縁メガネの男性
彼らはほぼ同時に電話を着信する
向かって右 『もしもし? え? おまえ何なの? うるさいよ、ちょっと』
真中(わたし) ……。
向かって左 『あ。申し訳ありません、え
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)