きみ、黄身、キミ/智哉
キミが得意なカルボナーラ
てっぺんにポコッて黄身がのってるやつ
僕はその光景が味と同じくらい好きだった
『キミは料理が上手だね』
と誉められると決まって
『キミって呼ばないで』
って怒られた
いや、照れていただけなのかも
だけど最近になって気付いたんだ
キミはキミと呼ばれることが
本当に嫌いだったんじゃないかって
僕はきっと鈍感すぎたんだ
鈍感すぎてキミの孤独を見逃してた
まるで潰されるために
ポコッて乗ってるだけと錯覚して
潰して絡めて無視してたんだ
本当は潰さずに飲み込んで胃に染み込ませて
僕の身体に取り込まれたかったのかも
そう最近になって気付いたんだ
キミに代わるキミの呼び名を探してる
再びキミを呼ぶ日が無かったとしても
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