新月/
松本 涼
渚で僕は待っていた
僕がここにいることを
知らないものを
しかしすべては
息を潜めながら
僕がここにいることを
知っていた
そのとき新月は
僕に向かって
小さくこう言ったんだ
「おかえり」
そうして
僕はもいちど
空と握手をすることにした
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