ちくわ/
智哉
週末に飲むビール
一通りのつまみを食べてしまうと
決まって君が冷蔵庫から取り出すちくわ
飲み物がワインや梅酒にかわっていても
決まってちくわと練りわさび
その動作を観察する僕
君は
皿にわさびを出すわけでもなく
ちくわの淵につけるでもなく
ちくわの輪のなかにわさびをつめる
そして決まって涙を流すんだ
ほら、わさびをつめ過ぎるから
もう僕の隣でちくわを食べない君
僕の部屋の冷蔵庫には依然としてちくわ
わさびは、もうない
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