子供たちが鳥に戻る日(風の強い日)/Utakata
 
げ始める

5.
ひとりの子供が地面に倒れている
風に振り回されて建物に当たったのか
大人たちの投げる石に当たったのかして
肩口から生えた翼が途中で妙な角度に曲がっている
唇の端から血が一筋流れている

***
埋めてやろうにも
そのための腕は既に失われている
似たような赤い染みがアスファルトのところどころに付いている
子供たちが空から甲高い声で笑う



地面がないので
もう痛みを感じる必要もない



6.
夕方の海岸に座る
ひとりの少年とひとりの少女
翼を生やさない代わり
ゆるやかに繋いだ指
絶え間ない風
水平線近くの空まで飛んでいく友
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