ビー・ゼア/餅月兎
わたしを定義するもの
今朝齧ったトーストの歯形
わたしを定義するもの
会社のデスク
わたしを定義するもの
そこに転がったボールペン
わたしを定義するもの
配達員に捺したハンコ
わたしを定義するもの
くずかごの鼻紙
わたしを定義するもの
実家にあるいくつかのアルバム
わたしを定義するもの
何人かの友人と家族と
あとは
みしらぬ他人という定義
それは虚無やゼロといった架空の概念によく似ており
そこかしこに漂っている
それを見ることが出来るのは
墓の下に住所を持ちながら
迷子になってしまった方達だけで
ときどき
かれらと交じり合った
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