大きな世界の片隅、小さなわたくし/鈴本 蘭乃
スクランブル交差点
にて
青信号を
待って居（お）りました
賑やかに話す
女子学生の群れ
が 居りました
自転車に跨（またが）り
先を急ぐ様な若い男性
も 居りました
電子機器に向かって
必死で謝罪する会社人（かいしゃびと）
も 居りました
仲睦（むつ）まじく
手を握り合う男女
が 居りました
数え切れないほど
の
ひとが居りました
わたくし は
其の全てを見たいと 思い
全てを見ようと 必死でした
やがて、わたくし が
全てを見終わる前、に
赤色のランプが
青色に変わりました
ああ こうして
すれ違ってゆくのですね
もう二度と見かけないであろうひと
わたくしの人生とは交わらないであろうひと
世界の片隅
佇むわたくし
出逢ったあなたは
奇跡のひと、と
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