トンネル/青木龍一郎
に驚き、おやという表情をしている。
僕の荒い呼吸だけが聞こえる。
僕は床に置いてあったテレビのリモコンを拾い上げて電源をつけた。
再び
真青暗な部屋が白い光で少し明るくなった。
部屋は一瞬で芸人の大声と、観客の笑い声で満たされた。
部屋は外と繋がって
僕らはまたテレビを観始めた。
部屋とテレビってトンネルみたい。
光の向こう側で芸人やアイドルが笑ってる。
不健康な僕ら
病的にテレビウォッチング。
無音のトンネルの向こう側の笑い声をじっと聞いてる。
暗いトンネルの向こう側の光をじっと見つめてる。
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