川の音/
小川 葉
川の流れのすぐ後を
少し遅れて
時が流れている
もう聞こえない
あの人の声のように
過ぎてしまった時が
少しずつ遠ざかっていく
水面を割り
魚が跳ねる
私に時を返すために
川は時として流れ
時は私の命として流れる
だからもう
それ以外
何も聞こえない
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