遅刻/小川 葉
 
長袖の下が
少し湿ってる、朝
君は駅からの道のりを
全速力でひた走る

遅刻は毎日の景色のように
日常を誤信した
人のまなざしとして
君にそそがれた

君の背景に
いつもその人がいたように
今はいつものようににいない
当たり前の日々が残された

君は掌を合わせて拝む
その指先のはるか向こうに
季節外れの
渡り鳥が飛んでる
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