不夜城/tomtom_poem
 
しんしんと暮れる
鋪装された畦道
闇は深い
そこだけ光を発して
闇を解かしていた
黄金の小びとたちが住む
断崖のうえの古城のような
冷たく射る巨大建築物の登場
壁は虚飾された白色に塗りこめられ
星の数かとみがもうほど
窓から窓から
もれ出る生白い光の群れが
眼を射る
その巨鑑は
たぶん歓楽街を呑みこんでいる
かつて栄えていて
今は人が絶え
煌々と発光しつづける
内部の歯車になっているのは
夜勤の人々
客でもなく経営者でもない
偏屈な甘い香りを生産する
魔物に化かされた影たち

要塞のごとき彼奴の上には大きく
人気のブランドの文字
町のコンビニでよく見かける
おいしさと種類の多さの
イルミネーション
非人間的な煙突は
もうもうと噴き出させる
労働者の生活のけむり
そのきらびやかな鉛のこころ

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