「ラバー」/菊尾
リの輪ゴム
あたしだけが知っている秘密の呪文
口ずさみながらトランクに仕舞ったら
あなたと一緒に海を見に行くの
なかなか懐かないあたしはそっぽ向いてばかりだけど
その手は上手に撫でてくれるから
きっとあなたとなら
どこへだって行ける気がするの
どうせ泣くなら笑いながら泣いていたい
見果てぬ夢の途中で立ち止まっても
信じたことを貫くわ
瞳の中で揺れる線香花火
季節の終わりにまたしよう
指きりで交わす約束
トランクの上に腰掛けたクマが
ニヤニヤしてる気がしたからなんだよっ!て砂を投げた
そんなあたしを見て
やっぱりあなたも笑ってる
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