きっと猫だった/よしおかさくら
 
細く高い塀に上って
そっと歩いたり
横に湾曲した
狭いトンネルに入って
潜り抜けたりしたから
きっと猫だったのだろうぼくは
君からの手紙を読みながら
ハートのしるしを頼りに
辿りながら
たぶん隣町へ足を踏み入れた
来たことがあるようなないような
追い払われたことの
あるようなないような
きっと猫だったのだろうぼくは
君からの手紙を眺めながら
ハートのしるしを数えて
跳ねながら
たぶん港町へ足を踏み入れた

誰の顔を見ても君ではない
抱き上げてくれる腕も
見覚えがない
どうしてこんな遠くまで
そして見知らぬ雲の
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