北風、太陽 新しい音/水町綜助
 

 島の上
 太陽の
 北風を
 黒髪の一本
 うつくしく絡ませるために

 旅行するひとへ

   *

 風がすこしやわらぎ
 まばたきを二度
 息をして
 あたりを見ると
 町の人たちは
 それぞれの仕事などをして
 それぞれ笑って
 ただふつうに生きていた
 警備員さんは手帳の頁をひとつめくり
 ぼくはひとつ新しい音を発した


















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