そらいろ/N哉
どうして空は青なの
肌色に違和感を感じた人間は少なくない。茶色より「焦げ」茶色を使った方が樹木らしくなるように、緑色は製造された時点でエゴでしかない。
クレヨンとタケシが見つめ合っている。
空が青いと決まってから、青い鳥は見えなくなり、ローソンは閑散とした。夕焼けが赤いと決まってから、我々の血液は濁り始め、テストの戻しには哀愁を感じた。
新しい色を知る度に、タケシは益々冷めていく。
夜を黒いと決めてから、大人は黒い服を好み、鳩を白いと決めてから、主婦や軍人は忙しくなり、タケシも画用紙を塗り潰した。
それでも、空は青い、海は青い、地球だって真っ青だ。しかしお前がいつか好きな子に振られて流す涙は、それらと比べものにならない程に、青いだろう。
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