白銀の狼/poorguy
 
狼よ、 
何ゆえ人を憎むのですか 
丘の上の孤独な魂に 
真っ赤な月が涙を落とす 
愚かなる二足の獣達は 
私の愛する者を連れ去った
二度と帰らぬ影の為 
喉笛を切り裂き続ける 
それだけが私の生きる意味 
銀色の髪をなびかせて 
返り血にまみれた戦乙女がつぶやく
天空に舞う鮮血の瞼は大地を示して言った 
高潔たる哀しき旅人よ 
愚者の営みを見渡しなさい 
人は戦を繰り返すもの 
逆巻く炎は自らを焼き 
お前がせずとも人は滅びる 
淡くまたたく夜の女神は 
星屑の胸に抱きしめた
それでも私は忘れられない 
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)