ビブラート/
こゆり
海面を
半音ずつ上下させ
間隔を
少しずつ狭めていくと
音もなく
止まったように
張り詰めた海面は膜を張り
そのずっと深くに沈んだわたしを
柔らかく包み
すくい上げる
夕日は
震えるわたしを照らし
眩しいので
孤独を
思う
そんな人が
まわりにけっこういて
気づけば
いろんな人が
いた
わたしは
あなたの手を取って
短く
その時を刻む
戻る
編
削
Point
(8)