朱鷺色/
亜樹
『若いということにはそれだけで価値がある』
『たとえそれが目減りするだけの財産だとしても』
そういった彼女の小指のつめは
鮮やかな朱鷺色をしていた
赤ではなく
紫でもなく
朱鷺色、としか
表現することの出来ない色。
あの色を纏うためだけに
私はきっと年をとってる。
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