羽/松本 涼
 
鳥が燃えながら飛び立つ
黒い枝が空いっぱいに絡み合う

朝にも似た冷たい大気が
無数の記憶を凍らせても
すかさず世話焼きの風は遣って来て
その霜を脱がせる

急いで帰らなきゃ

鳥が笑いながら羽を散らせる
その一枚が私の髪に止まる


急いで帰ラナキャ


見上げれば羽は灰のように
空を隠すほどに舞い落ちて
魂のあぶくの中へと
積もっていく



急いデカエラナキャ



イソイデ…



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