偽物の光と影を借りにゆく/
小川 葉
本の隙間から
光が溢れている
行間のひとつひとつが
とても眩しくて
僕らは本の影の部分を
読んでいるに過ぎない
見失った灰色の街で
出会ったばかりのきみから
きみの本を借りた
世界は今日も
本物と見分けがつかず
光と影に満ちているから
きみが偽物だってかまわない
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