消しゴム/小川 葉
 
真っ白な消しゴムで
夜の闇を消すと
鉛筆を持った妖精が
朝を描く

僕は思い出す
間違えては文字を消し
覚えたての言葉を
何度も語り直していた

たとえ間違えても
きっと正しいことがある
それが口癖だった母も
いつも何かを
消してばかりいた

今朝は妖精が
朝を描き間違えて
雨が降った
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