死者たち/Utakata
(ゆっくりと わらった)
螺旋系に抱き合う
全てが終わった後のくらやみのなかで
遠くにいる小さな影が僕に向かって手を振るのが見える
生まれることさえ許されなかった無数の死者という言葉が頭に浮かぶ
僕自身の背中を振り向いてみたい衝動に駆られる
(どうしてだろうね ぼくらも)
百年後の世界のことを思う
そう遠くない未来の人々が同じ通りを歩いている
僕たちのほとんどの名前は既に忘れ去られている
名前さえ知られなかった無数の過去の死者たちがゆっくりと起き上がる
突然 町並みが過去と未来の亡霊たちの姿で溢れかえる
(ためらい
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