メランコリエ/
 
チャリオットが降下してくるところ。そのさまを見上げれば、人は迷わずほうき星と名付けるだろう。

空のことはよく分からないけれど、星がまたたくのは町のようで好きだ。案外みんなもそう思ってる。空の写しを地上につくるくらいには。
あまりに欲しいと追いかけたせいで、始めにほしがったものを手放すことは、人だし仕方のないことだと思う。



布団を干す。
昼間の塵に目を眇る。
黄色いヘルメットの男がでかい音をたてる。反響は延々ビルの間を跳ね回った。
くそったれめ!
手を離したらふわふわと羽布団は落下してしまった。
後を追いかけそうになったのはどうしてだろう。
くすんだ灰色の、草臥れ布団。カレーヌードルの染みもどんどん小さくなって、そいつは誰も見向きもしないのに大の字で地面へ寝そべった。

「明るいと地上は汚い
けれどこんなにも空は遠く…」


僕は考える。
何故と問えば恐らく、神の答えはこう。

「とりあえず落ちた布団の回収を」
戻る   Point(1)