樹木の日々/
千波 一也
いつからか
従えずにはいられないような
ある種の隷属のなかで
炎をおぼえた
つめたい石を蹴飛ばしながら
無言の
雨に
含まれ、ながらえ、
水たちの森は
鏡をとおり吸いあげられて
知らないことばが
よみがえる
いくつもこぼれた過ちを
ついばむ小鳥の
一羽となって
灯り、
ほのかに
まがいもの、かも知れない
朝がくる
根を張る禁忌に
背かれ続けているような
樹木の日々を
束ねては
畏怖のかたちに冴えていた
燃されず火を散る
葉脈として
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