いらない/瓜田タカヤ
日常。
私の航海は5人。
家族が5人、でぼくは生きている。
暗闇に
白い一本のラインが見える。
それは
隙間からこぼれる光だ。
こぼれる光しか、
光と認識しない脳のシステムだ。
脳のシステムなんて言い方ちょっと寂しいのかも知れないけれど
溢れる光の束でなければ、それだと気づかない
日常が目の前に広がっているのだ。
金も
命も
いらない。
例えば
脳が
欲求しているのは
一瞬の
こぼれ落ちる
水滴のような
精神のような
まぶしい光の
瞬間なのだ。
航海はいつも暗闇ばかりだけど
瞳を
剥き出しの
命のてのひらで覆うと
光がこぼれるのだ。
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