林檎落下/エチカ
 
午前3時に咲いた 鈍色(にびいろ)の花腐し
嘘を塗り重ねて
すこし刺々しく君に抱かれた柔肌が 
うっすらと赤みを帯びる


君は私の名前を呼ぶ どんな抑揚もつけずに
ただ平淡に溺れるために 何度も何度も 同じ声色で
鈍色(にびいろ)の光を閉じ込めていた 浴室3cmの罠 
濡れた髪を押し当てたシーツの痛みは
仕掛けられた運命の落とし穴

死んでしまったのだ あの日
擦り切れてしまった 花腐しの意味も知らずに



林檎は 落下する



君は知らない
君は知らないでいる
私が嘘をついたことを
君は知らないでいる

消え入りそうな夜に

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