あいさつ /服部 剛
 
七日前 
自ら世を去った 
友を思う深夜の部屋  
( ふいに見上げた古時計 
( いつのまに止まった秒針は震えながら 
( 永遠の音を刻む      
明日もぼくは 
職場の老人ホームにて 
集まる地域のおとしよりに 
きゅうすの口から湯のみへと 
緑のお茶をそそぐだろう 
かけがえのない友の死を 
知らないふりの表情で 
( いつのまに 
( 今日の日を刻み始めた
( 古時計の秒針 
杖をついて 
こちらにゆっくり歩いてくる
猫背のひとに目を合わせ 
いつもの言葉をいうだろう 
おはよう 
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