ピンク色のコンドーム/快晴
 

失望と共にゴミ箱に投げ入れる

インスタントの珈琲を少し濃い目に入れ
1本目の煙草に火を点けると
寝惚けた脳味噌もやっとゆっくりと動き出す
彼女はまだ起き上がる素振りを全く見せず
僕は今日が何曜日なのかさえも分からない

音量を小さく絞りテレビを点けると
またどこかで誰かが殺されたという
そんないつもの聞き飽きたニュース
チャンネルを変えれば
得体の知れないどこかの批評家気取りが
モラルがどうのと熱弁している
そんな物がまだこの国に存在するなら
一度はこの目で拝んでみたいね

やり場のない気持ちを持て余し
それを煙草の煙と一緒にゆっくり吐き出す
2杯目の珈琲を入れようと立ち上がると
足音に気が付いたのかやっと彼女が目を覚ます
「うん…、もう起きてたんだ?」
「あぁ。」と、
自分でも気付く位に愛想のない言葉を返す

そんなありきたりな朝のやり取りに
僕はまた今日への希望をすり減らす
なんとなくそんな自分の存在が
さっき見た、ゴミ箱に捨てられた
コンドームに重なって思えた
使用済みのピンク色のコンドーム

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