こねこ/hope
 
 
 
力無く流れてゆく血液を、子猫が舐めてくれていた。
はっきりと見えた筈の血液の流れを、とっても綺麗に消 してくれたの。
音も無く脈々と。
静かに。
とっても。

留まる視線の、その先には投げ出された左腕。
罪も無く言うのです。子猫は、

 「おいしいです」

と。
握り締めた剃刀は、窓から零れる空に、照らされて、き らり。
それが、わたしの最後の風景でした。






目を開けばそこは風に揺れる木陰の下から、私は坂道を 登っていました。
ぜえぜえとは言いません。はあはあ程度の勢いで。

 はあはあ。

と、です。
見上げたその先には【
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