おじさん/つばくらめ
 
今日初めて
道行く少年に おじさん と呼ばれた
スーツを着ていたからだと思うけど

公園の木が風に震える
アスファルトは抵抗する気すらない
おじさん、てぶくろおとしたよ、
とその少年は
水色のDSを持っているのとは反対の手で
にび色の手袋を差し出した

おじさん、と口に出すと
幼いころの自分は
それだけで少し胸が躍った
子どもらに配るほどの金があり
ニュースという不可解な言語を理解し
風邪薬より苦いビールを飲み干している
僕のおじさん
その頃は
いつか自分も お年玉をもらう側ではなく
あげる側に移るだろうことを
ほんの少しの無常を感じながら
ぼんやりと信
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