名前/
松本 涼
夢からはもう
とうに醒めてはいるというのに
僕の現実は
まるで夢に似てしまう
夜中でもなく
朝でもなく
ただの希薄な時間に
冷たくもなく
暖かくもない
手の甲で
少し湿った頬の上の
名前を拭いながら
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