「ハルク」/菊尾
 
らでは逃げられない
不自由を与えられて自由の意味を知る
彩りは誰でもなく僕の右脳が添えている
住み心地はどこだって悪くない


くゆり踊る陽炎の列
伸びたツルは巻いて巻いてロココ調
安心できない季節だから
君の情緒不安定は僕が見守るよ
ラムネを行きつけの駄菓子屋で買ってから
あの陽炎の後を追いかけよう
夕暮れの合図をヒグラシが知らせてくれるまで
放課後のチャイムがグランドに響くまで

長く這う影
廃線になった線路の上を歩きながら
僕らは一体どこへ行こう
遠くで花火の音がする
カキ氷が食べたいと二人の意見が一致する
たとえ君に嫌われても君が病まなければそれでいい
夢に住む動物の話をする
「あたしその動物五匹飼ってる」
君が一歩先を行く

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