湿原尖/瓜田タカヤ
が不意に現れる
常に缶ペンケースの中にあった1円切手は
湿原で死に轢かれた死ぬ鳥に手紙が送れない
彼女に湿原へ向かって伝えてもらおうか迷わない
古代空間はひっ迫で幹を支えている
鮫はヘチマのよう
街の一部で良くて内部でもある事を知って繁殖する
コノハチョウは濡れて湿原で日々を消滅させる
遊んで蹴られる
感動は缶ペンケースに入りきらず世界を覆う
ミステリーカーテンは視認のみで息切れがする
でも美しい
胸部を開くと一円切手が詰まっている
世の中は意味と画面のみで現実感の似非を支えている
街の一部は湿原だ
冷却ごと蹴られる彼方
母親はまた何処かへ行った
膨張の重力感で黒い夕日に押しつぶされそうだ
喉が折れているのに強烈な睡眠で踏みつぶされそうだ
世界中の照り付いた青虫の正体が
人間の喉だ
それでも美しい
街は膨張の青虫
蹴られた喉だ
それでも美しい
悲鳴ごと人を抱きしめられない強烈な睡眠は100年続く
それでも
美しい
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