批評祭遅刻作品■時を止める?「殯の森」と「ノスタルジア」における垂直のメタファー/渡邉建志
の関係のなかに、「殯の儀式を終えた彼への天からの祝福」とでも言いうるメタファーが拡がっていないだろうか。それはたとえばタルコフスキー「ストーカー」におけるゾーンの「部屋」に降り注ぐ祝福の雨のようなメタファーだ(これもまた天からの垂直な運動)。
「何かを信じて」穴を掘るという行為の切実さは、同じくタルコフスキー「ノスタルジア」の温泉のシーンにおけるろうそくの火渡しの行為の切実さと同種のものだ。「ノスタルジア」のこのシーンにおいては、主人公が手に持ったろうそくの火を対岸のろうそくへ点けようとして、こちら側の岸からゆっくり歩いていくのだが、風が強くて途中で消えてしまう。すると主人公はまたこちら側の岸へ
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