批評祭参加作品■怠惰な物差し ??あるいは違犯と視線について/岡部淳太郎
 
社会から疎外される。このへんの構造を少しばかり考えてみたい。
 違犯という言葉を辞書で引くと、「法令にたがい、罪を犯すこと。法を破ること」(『広辞苑 第二版補訂版』)と書いてある。この定義に従うと法律に抵触した者、いわゆる犯罪者のみを扱うということになるが、これだけでは私が考えている問題をカバーするには足りない。ここではそれを、前記の定義に加えてかなり大ざっぱに「社会の秩序やその空気を乱す、またはその恐れがあると考えられる者」として論を進めたい。
 世の中には数え切れないほど多くの人間が住んでいて、その個性はそれぞれにばらばらで千差万別だ。そのばらばらな個人を束ねるのが社会というシステムであり
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