カルマちゃん/N哉
 
 おれの友達なら「地球の時転だって、おっさんのくしゃみだって、ぜんぶ詩なんだぜ」って言うだろう。そう言った後で「おれは全然そう思わないけど」と付け足すに違いない。



 日本列島が歯車を剥き出しにしている岬が見たいなら、釧路市から東へ向かえ、眼下の海を少し泳げ、その先には巨大な滝、何処に向かって落ちてるんだか見当もつかない高さから。
 おれはそこで日本語を順に捨てた。最後に捨てようとしたやつが「助けて」と言ったが「お疲れ」と言って捨てた。滝の流れに乗って消え去る言葉、おれは漸く詩人である意義を失い、日本語の温もりも無意味な墓標となった。



 カルマちゃんは滝の傍でドタバ
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