批評祭参加作品■食い違う夢 −『私たちの欠落(夏の日の)』藤丘 我流読解−/大村 浩一
私たちの姿は少しも奇妙ではなく
#暗闇では慈愛に満ちている
この第7連と第8連、実は1セットなのだと思う。
やや唐突な感じのする第7連だが、これがないと第8連の「朝」や「姿は少
しも奇妙ではなく」といった語句の存在理由が説明困難になる。
第7連、「月の隠れた夜」に「傘をひろげて」いるのだから、この連のシチ
ュエーションは「雨」だ。そしてこの詩の中に「朝」を描いている連はひとつ
もない。
大村が思うに、第7連は主人公が夜明けから朝にかけて見た「夢」ではなか
ろうか。ということは「朝と夏の雨は混ざらない」とは、大村が我田引水に言
い換えると「私の夢や妄想のなかに、日常の
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