外国人のミサイル/N哉
駅に人垣ができていて通れない。『ちょっと?おれ終電なんですけど?』まあ見てごらん、外国人が改札前で揉めている。終電に走る足が次々に止まる、日本人は深い溜め息をついた。
それを制する力も術も持たぬ我々には、黙って眺めていることしかできなかった。駅員が小さな声で「やめろ…やめろ…」と言ってるが、こいつ火元から完全に目を反らしているし。
しかしそれも仕方のないことだ。当事者の片割れは身の丈2mを優に超す屈強なロシア、ハスキー犬のような青い目が今にもこぼれそうだ。これはおっかない。
さて、そのお相手はと言うと、一見普通のサラリーマンのようにも見えるが、どこかおかしい。聞いてみれば怒鳴り散らす
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