二階のベランダ/虹村 凌
 
きっといつか小さなアパートの二階のベランダから
この世で最も醜い青と橙の冷たいグラデーションを眺めながら
冷え切った珈琲を流し込んで
ゆっくりとベッドに沈む
とても美しいその一連の仕草は
シーツにくっきりと形と体温を残して
もう殆ど見えなくなった夕陽にそっと溶け込んでいく
薄紫色の煙と混ざりながら
ゆっくりと溶け込んでいく

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