望遠/水町綜助
 
銀盆の月が
ばったにかじられた
あれは いなごか
欠けたところが
水分を染み出させて
水銀のようにふるふると
ひときわ輝いては
痛々しい

痛々しいものは うつくしい
なんて
十七歳の日常みたいに
遠く離れて
みているから
そうみえる

「たとえば

と呟き出す
絶望の話
指示代名詞の多い悲しい話
あいまに頬張る
一食ごとにやわらかさを
取り戻す霹靂と
セックスの度に開く水門
海へと
歩く
顔がむくむ朝
冷たく
取り返しのつかない起床のあとに
いちにちの
始まり
「毎日」のための
毎日

おもちゃを集めるこどものような
盗むこ
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