批評祭参加作品■詩について書いてみる 詩は歌うもの 物語は読む物/よしおかさくら
イコールが自分になるということだと思う。タイトルの後に名前を書くが、あれは名札のようなもので、その詩には自分の名札がついていると思った方が良い。当然のことだが。自分の名札をつけた詩が、自分が作った詩を歌うのだ。
詩は歌である。メロディは無くとも、歌になって読み手の胸に響くよう書かれたものである。わけがわからずとも、人生の局面において思い出され、初めて意味の通じることもあるかもしれないと思う。読み手が自分であったとしたならば、幾度か不意に思い出されて、改めて甦り、歌われなくては、と思うのである。
一方、物語は読む物だ。字さえ読めれば意味がわかり、感動が自然と伝わってくる。わざわざ自ら考えることはない。体験を重ねて歌う必要がないのだ。詩を読むのには物語を読むのよりも、難関が少し多い。同じ経験がなければわからないままで、素通りする人が多いだろう。また、物語のように続きが気になることもない。その上、割とすぐにその一編は終わってしまうだろう。歌のように暗唱され、覚えられるのならば、詩はもっと歌われるはずだと思う。
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