山道で蹲る、由美子/N哉
 
「挙手なさい。指名しますから」

 と、言っておきながら先生は今回も、窓の外を憂鬱そうに眺めている由美子を選んだ。
 由美子が渋々立ち上がり音読を始めると、皆が黙って聞く姿勢。まあしかし、一部のヤンキーと腐女子は相変わらず自分に夢中だったし、女子のほとんどは嫉妬で苛ついていたわけだが。少なくともおれや男子生徒はとても行儀良かった。
 一目貴方にも見せてあげたい、由美子の可愛さ、美しさ。その美しい由美子が音読するのだから、これは素晴らしい物語の、始まり始まり――。


『山道』

 私は、蹲っていた。
 突然始まった激しい腹の痛みに、私は人気のない山道で蹲っていた。
 先程の茶
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