路上で無料占いをしていた時の話/よだかいちぞう
 
90%知りたい
だけどそれはやめておく

死ぬのはいくつの歳か
それを聞きたいけど
聞かないことにする

と、57歳のおじさんが言った



ぼくの座る
駅前の公園のベンチの前には
柵があった

その柵が
公園と通勤客を
分けていた

だから公園に入るためには
柵と柵のわずかな隙間から
入ることが許されている

おじさんは公園の中に入らず
柵ごしからぼくに
まずはと千円札をくれた

おじさんはぼくが勧めても
公園には入らなかった

おじさんは公園には入らず
柵に両腕を乗せて
ぼくに話し掛ける

先のことを聞くのは嫌だから
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