接触/相良ゆう
接触である。この絶対のルールが物語の世界の自己である心にも、余りにも無批判に、余りに無闇に、適用されているのである。
結果、異なる主義主張を持つ「私」は、現実世界のルールに従って、物語の世界においても衝突するのである。それを最も明瞭に照明しているのが、インターネットでの罵詈雑言などの言葉の応酬である。思想と思想が純粋に論争を繰り広げる姿ではなく、「私」と「私」とが醜く殴りあう姿である。最近は良く見かける光景となってしまっているのが残念である。接触を考えることによって我々人間の問題が明らかになったかと思う。現実と物語の区別を無視してそれらを統一した「自己」を形成すること、すなわち物質と概念を「
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)